日本がつくった“ナンバーワン”のメトロのすばらしいポイントはいくつもあるが、そのひとつが「全自動無人運転鉄道システム」を採用したことだ。
全自動ってことは、当然ながら運転士がいないということ。鉄道ファンの、特に女性のなかには“運転士萌え”の人もいる。たしかにICEの先頭車両に乗って、びゅんびゅん飛び去るダイナミックなパノラマを運転士の制服の肩越しに眺めたり、SL鉄道の機関車で、運転士の隣りに立って石炭の熱気を感じるのも素敵な体験だ。
しかし新交通「ゆりかもめ」などでご存じのように、無人運転車両の前面の窓から眺める風景は格別だ。足元から伸びた線路の上を着実に進むゾクゾクするような快感は、ここに立たなければ味わえない。ドバイ・メトロの“日本製”の車両は、前面部に大きな窓を取っている。しかも東南アジアあたりのユルい鉄道と違って、窓はなかなかきれいに掃除されている。つまり最高のパノラマウィンドウ。心の底では、最前列に陣取って窓にへばりつきたいところだが、ここでいつもある問題に直面する。子どもだ。