大阪府岬町の「リモコン農園」ではスタッフが生育状況をチェック。依頼を受けて草を抜いたり、時にはアドバイスを送ることも【拡大】
同様のITを利用した遠隔栽培は、松山市の農業系ベンチャー会社「テレファーム」も平成22年から、増え続ける耕作放棄地を解消したいと、取り組みを始めた。愛媛県内子町や大洲市などの計約3ヘクタールで「遠隔農場」を展開し、1区画(1~3平方メートル)を月500円で貸し出している。
現在会員は約3千人に上る。首都圏や関西圏のほか、東日本大震災後は、仙台市など東北地方の利用者が増えたという。また、有機栽培を行っているため、こだわりのある東京のレストランやスーパーなどからの契約もあるという。
「オンラインで手軽に楽しみながら栽培するうち、作物に愛着がわくようです。生育過程が分かるという安心感も受け入れられているようです」と、同社社長の遠藤忍さん(45)。「遠隔栽培を通じて、耕作放棄地など地方の農家の現状も知ってもらえれば」と話す。
農業を通じた地域活性化に詳しい和歌山大学名誉教授の橋本卓爾さんは、「今後も増えていく耕作放棄地の問題をどうするかは、地方の大きな課題」と指摘する。ITを活用した遠隔栽培は、課題解決に向けた方法のひとつ。「手軽に楽しめる要素があり、都会と農業の現場を結ぶこともできる。これを契機に、農業の現場に足を運ぶなど、本格的な交流が進んでほしい」と話している。