都心では、練習場所の確保がさらに難しい。約1万人が踊る東京都杉並区の「東京高円寺阿波おどり」の関係者によると、太鼓や笛などの練習場所はもっぱら音が漏れにくい地下2階の倉庫や、ライブハウスだ。踊りの練習のために小中学校の体育館を借りた場合は、掛け声などが漏れるのを防ぐために窓を閉め、蒸し風呂状態となるという。
参加連(踊り手のグループ)の一つ「ひょっとこ連」の副連長、坂牧史子さん(36)は「一度でも苦情が入ると体育館が借りられなくなる。杉並区では住民の入れ替わりが激しく、新住民の多くは阿波踊りが本番だけでなく日頃から練習が必要だと知らない。自分たちと関係ない音だと思うと、騒音と感じるのかも」と表情を曇らせる。
騒音扱いされる原因について総合情報サイト、オールアバウトの「暮らしの歳時記」ガイドを務める和文化研究家、三浦康子さんは「かつては地域全体が年中行事に向けて盛り上がったが、こうした共同体意識が薄れ、住民間で温度差が生まれやすい」と指摘。「伝統行事でも維持するために知恵を絞っており、集客や観光誘客目的の盆踊りを地域の文化として根付かせるには大勢の支持が必要だ。無音もそうした試みの一つだろう」と話している。