「偏差値が高いだけの医師」はなぜ危険なのか 医学部ブームの裏側 (2/6ページ)

2015.11.14 17:10

順天堂大学病院副院長・心臓血管外科教授天野 篤

順天堂大学病院副院長・心臓血管外科教授天野 篤【拡大】

 ただ偏差値が高いだけで漠然と医師を目指し、努力もしないで自分は選ばれた人間であるかのように勘違いした状態で医師になってしまうと危険です。医師になれば安定した生活が送れるので、早く一人前になりたいと考えるのは、まだ患者さんを診察しようという意欲が失せていないだけましなのかもしれません。自分は選ばれた人間なのだから、新しい治療を実施して有名になろうとか、患者さんを診るのは二の次で患者さんの顔がレセプト(診療報酬表)に見えて、その枚数を稼いでお金儲けができればいいというふうになってしまう恐れがあります。

 <医師には知らざるは許されない。医師になることは身震いするほど怖いことだ>

 これは、2002年4月16日付の朝日新聞の「私の視点」に「医学生へ 医学を選んだ君へ問う」というタイトルで掲載された金沢大学名誉教授の河崎一夫先生の文章の一節です。私はこの新聞の切り抜きを、教授室に貼っています。少し長いのですが、一部を紹介します。

 医学生は「よく学び、よく学ぶ」しかないと覚悟せよ

 <君に問う。人前で堂々と医学を選んだ理由を言えるか? 万一「将来、経済的に社会的に恵まれそう」以外の本音の理由が想起できないなら、君はダンテの「神曲」を読破せねばならない。それが出来ないなら早々に転学すべきである。

医師の仕事はテレビドラマのような格好のいいものではない

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