図1 イノベーティブ職の割合(2010年)【拡大】
そして、港区に流入してきた高額所得者たちを突き動かした最大の動機は、経済的な価値より以上に、「都心ライフ」を楽しむという生活価値の再発見にあった。おそらくこの動きは、モレッティ論よりさらに先のステージにあるのではないだろうか。「富の郊外化」と、これと対をなす、「インナーシティのスラム化」のふたつが揃うほうが、むしろグローバルスタンダードだからだ。
その意味で、港区をはじめとした東京都心部や、さらには大阪市など他の大都市でも普遍化し始めている「人口の都心回帰」の動きは、日本独自の傾向といって、おそらく間違いはないだろう
住むところで年収は決まっても満足度は決まらない
港区に「富の集中」をもたらした高額所得者たちの主要な移住の動機となった「都心ライフ」とは、通勤から解放された時間を都心に備わる様々な機能や環境の満喫に消費すること。あるいは、「都心での仕事=オン」と「郊外での居住=オフ」を切り分けてしまいのではなく、仕事での仲間であろうと、職場を離れたもうひとつの関係で結びつく、オンとオフのなだらかな連続にある。