【江藤詩文の世界鉄道旅・新年特別企画】肥薩おれんじ鉄道おれんじ食堂(3)生殺しブルトレ 賑わうホームとの対比で際立つ哀愁 (2/2ページ)

2016.1.17 18:00

阿久根駅のブルートレイン

阿久根駅のブルートレイン【拡大】

  • 薩摩高城駅から眺める東シナ海。左手にはリーゼント頭に見えるという通称「リーゼント岩」もある
  • 薩摩高城駅の「駅マルシェ」
  • 地元の人たちが各駅で手を振って見送ってくれる
  • 顔はめはいくつもバリエーションがあった
  • 古い車輪と線路をデザインしたオブジェ
  • リアルな仕上がりの鉄道模型
  • 鄙びた風情ある駅も多い
  • 新八代駅に到着した「おれんじ食堂」
  • 乗務員が揃ってお見送り

 「こんなにお腹がいっぱいで、停車時間も短いのに…」。ぶつぶつ言いながら車内に戻ると、大阪からの団体さんはとっくに完食して席に着いていた。見たところ平均年齢は60歳オーバー。お元気なのだ。

 食べたり飲んだりも楽しいが、いくつかの駅には、鉄道ファンなら逃したくない見どころがある。阿久根駅では、なんと駅構外のはじっこに「ブルートレイン」が置かれていた。ピカピカと立派すぎる駅舎から少し離れた位置に、雨ざらしになっている。「かつてはこの列車に乗って、よく旅をしたんですよ」と、横須賀から来たご夫婦。窓ガラスに額を押し付けるようにして、懐かしげに中をのぞき込んでいる。首からカメラをさげた撮りテツも、2号車からわらわらやって来た。

 それなのに! 扉はがっちり施錠されていて、内部を見ることができないのだ。「中を見たい人は下記に電話をしてください」と、手書きの貼り紙がはがれかけている。電話をしようとすると「出発時間に間に合いませんので」と、乗務員。そんなぁ…。

 いろいろ都合もあるのだろうが、おれんじ食堂に乗車した鉄道愛好家のためにも、いつかブルートレインを開放してほしい。

■江藤詩文(えとう・しふみ) 旅のあるライフスタイルを愛するフリーライター。スローな時間の流れを楽しむ鉄道、その土地の風土や人に育まれた食、歴史に裏打ちされた文化などを体感するラグジュアリーな旅のスタイルを提案。趣味は、旅や食に関する本を集めることと民族衣装によるコスプレ。現在、朝日新聞デジタルで旅コラム「世界美食紀行」を連載中。ブログはこちら

産経デジタルサービス

産経アプリスタ

アプリやスマホの情報・レビューが満載。オススメアプリやiPhone・Androidの使いこなし術も楽しめます。

産経オンライン英会話

90%以上の受講生が継続。ISO認証取得で安心品質のマンツーマン英会話が毎日受講できて月5980円!《体験2回無料》

サイクリスト

ツール・ド・フランスから自転車通勤、ロードバイク試乗記まで、サイクリングのあらゆる楽しみを届けます。

ソナエ

自分らしく人生を仕上げる終活情報を提供。お墓のご相談には「産経ソナエ終活センター」が親身に対応します。