2016年“官製春闘” 年収かベアか、せめぎ合い (1/3ページ)

2016.1.20 06:21

 政府が賃上げを強く要請し、経済界もそれに同調する3年連続の“官製春闘”の様相を呈している2016年春闘。ただ、過去2年は経営側がベアを重視した賃上げの姿勢を示していたが、今回、経団連の榊原定征会長は「あえてベアは強調しない」と方向転換の姿勢を示している。その理由は2つある。

 まず、14年はその前年より7370円、率にして2.28%、そして15年は8235円、2.52%と、昨年までの2年間で大幅な月例賃金の引き上げが実現したからだ。ベアは企業にとって固定費の増額となる。賞与や退職金、企業の社会保障関連支出の基準にもなり、2年連続の大幅増の負担は大きい。このため今年はベアを目指すことができない企業も増えている。

 次に経済動向だ。中国経済の減速、原油価格の下落などで、年初から金融市場が混乱している。工藤泰三副会長は「花曇り」と、企業業績の向上や経済再生を感じつつ、先行きが不透明であることを表現した。すでに石油元売りが業績を悪化させるなど、勢いのあった昨年まで好調な経済環境には変調の兆しがある。この環境下でのベアは「企業を自縄自縛にする」と工藤氏は警戒する。

経団連はベアにこだわらない「年収ベースでの賃上げ」で連合を牽制

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