「待機児童ゼロ」を掲げる長野県のある市に住む40代の女性は、「自営業の夫の仕事を手伝っていることにして、子供を保育所に通わせている」と打ち明ける。女性は自宅で趣味の料理教室を開くため一昨年、長女(4)を認可保育所に入れた。
通常、認可保育所への入所の可否は、勤務実績などから「保育の必要性」を自治体が判断する。しかし、同市では農業で生計を立てる人が多く、「勤務実績は自己申告に頼らざるを得ない」(担当者)という。女性は「幼稚園よりも預かってくれる時間が長いので助かる。働いていないのに預けている母親は他にもいる」と話す。
「午後4時に退社しないと間に合わぬ」
一方、都市部の共働き家庭にとって保育所不足は深刻な問題。川崎市の子育て層に人気の地域に住む会社員の女性(41)は、長男(4)と長女(1)を自転車で約20分離れた別々の認可保育所に預けている。「2園回ると会社から家まで2時間かかる。午後4時に退社しなければ間に合わず、業務をこなしきれないこともある」と頭を抱える。