「屯門(チュンムン)」地区は高層マンションが建ち並ぶ住宅街で、フェリーターミナルは今年1月28日に運用が開始されたばかりだ。マカオとのあいだを40分ほどで結ぶ高速船サービス「ターボジェット」が1~2時間おきに往復している。中国の深センまで行く便もある。とくにマカオ線は利用客が多く、順次増便しているそうだ。
観光客が香港を経由してマカオへ行く場合、香港国際空港から直接ボートに乗り継ぐこともできるし、香港島の「上環(ションワン)」にも九龍の「尖沙咀(チムサーチョイ)」にもフェリーターミナルがある。いったいなぜ郊外にあるフェリー乗り場が混雑するのだろうと思ったら、地元の人たちがマカオへ日帰りで出かけるそうだ。目的はカジノ。ちなみに深センは香港と比較して物価が安いため、こちらへは日用品の買い出しに出かけるとか。
なるほど。海を見ながら煙草をふかしているおじさんたちは、もしかしたらカジノで負けて帰ってきたのかもしれない。遊歩道には、所在なさげなジャンパー姿が点々と佇んでいた。
■取材協力:香港政府観光局
■江藤詩文(えとう・しふみ) 旅のあるライフスタイルを愛するフリーライター。スローな時間の流れを楽しむ鉄道、その土地の風土や人に育まれた食、歴史に裏打ちされた文化などを体感するラグジュアリーな旅のスタイルを提案。趣味は、旅や食に関する本を集めることと民族衣装によるコスプレ。現在、朝日新聞デジタルで旅コラム「世界美食紀行」を連載中。ブログはこちら