松本清張も通い詰めた名店 文化人に愛されたフランス料理「こけし屋」 (1/3ページ)

2016.5.14 17:00

接客歴40年を超えるベテランで、店を切り盛りする川上貢店長

接客歴40年を超えるベテランで、店を切り盛りする川上貢店長【拡大】

  • 作家の松本清張が好んだという牛肉の赤葡萄酒煮込(手前)。オニオングラタンスープ(左)も当初から変わらない味だ(寺河内美奈撮影)

 JR東京駅から約30分の場所にある中央線の西荻窪駅近くに店舗を構えるフランス料理と洋菓子の店「こけし屋」は昭和24年創業の老舗だ。多くの文化人らに愛された指折りの名店として、今も多くのグルメ通の舌をうならせている。(文・玉崎栄次)

 松本清張の“書斎”

 午後3時。ホールでは、1組の老夫婦が会話を楽しみながら、ゆったりと遅い昼食をとっていた。

 「落ち着いた雰囲気でしょう。先生はこの時間に黙々と筆を走らせていたそうです」。川上貢店長(67)が店に伝わる逸話を教えてくれた。作家、松本清張(1909~92年)のエピソードだ。

 昭和30年代前半、毎週のように通ってきた。昼の開店と同時に現れ、ホール奥のテーブルに陣取る。昼食を終えると執筆に取りかかった。夕方、編集者が原稿を取りに来た。手渡すと、夕食を済ませて帰る。

清張が好んだ看板メニューは?

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