松本清張も通い詰めた名店 文化人に愛されたフランス料理「こけし屋」 (2/3ページ)

2016.5.14 17:00

接客歴40年を超えるベテランで、店を切り盛りする川上貢店長

接客歴40年を超えるベテランで、店を切り盛りする川上貢店長【拡大】

  • 作家の松本清張が好んだという牛肉の赤葡萄酒煮込(手前)。オニオングラタンスープ(左)も当初から変わらない味だ(寺河内美奈撮影)

 しばらくして、空前の推理小説ブームを巻き起こした「点と線」が世に出た。

 清張が好んだのは、牛肉の赤葡萄(ぶどう)酒煮込(ビーフシチュー)。当初からの看板メニューだ。

 「当時と同じ作り方。だから、味も同じです」。川上店長が差し出した皿には、2切れのこっくりとした色合いの肉が。口に運ぶと、ワインの程良い酸味と脂身の甘さが広がり、ほろほろと舌の上で溶けていく。この味が、名作の誕生を支えたのかもしれない。

 思い出の味を守る

 現在の6階建て店舗は昭和55年に建て替えられ、レストランや洋菓子売り場が各フロアに入る。24年の創業当初は戦火を免れた木造2階建ての喫茶店だった。

 西荻窪周辺は、戦時中に疎開した文化人が多かった。創業者の大石総一郎さん(故人)には、画家や評論家ら文化人の知人が多数おり、酒を飲み交わす会を始めた。人が人を呼び、沿線に住む作家や画家たちが続々と集った。小説家の井伏鱒二、洋画家の東郷青児、版画家の棟方志功…。

「こけし屋で初めて仏料理を食べた」という客も多い

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