松本清張も通い詰めた名店 文化人に愛されたフランス料理「こけし屋」 (3/3ページ)

2016.5.14 17:00

接客歴40年を超えるベテランで、店を切り盛りする川上貢店長

接客歴40年を超えるベテランで、店を切り盛りする川上貢店長【拡大】

  • 作家の松本清張が好んだという牛肉の赤葡萄酒煮込(手前)。オニオングラタンスープ(左)も当初から変わらない味だ(寺河内美奈撮影)

 年の瀬に慈善オークションを催したり、メンバーのお祝いの会を開いたり。ファッションショーを行うこともあった。さしずめ、モダン文化の発信基地。

 仏料理を提供し始めたのも、メンバーでフランス生活の長かった仏文学者の妻の勧めがきっかけ。「仏料理は家庭料理が基本」。その教えを忠実に守り、オニオングラタンスープなど肩肘張らないメニューをそろえた。

 口コミで評判が広がり、遠方からやってきて「こけし屋で初めて仏料理を食べた」という客も多かった。昔からの味を守り続けているのは、そんな客たちの思い出を大切にしたいからだ。

 戦争に負けても伝統文化は残るという思いを店名の「こけし」に託したという。店内に飾られた数百体のこけしは、不要になり引き取ってほしいと持ち込む客が後を絶たず、増えていったそうだ。

 ■こけし屋

 東京都杉並区西荻南3の14の6。(電)03・3334・5111。コースは4200~1万400円。単品でも注文可。ランチは午前11時~午後2時で2600円と3700円。税・サービス料別。

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