【AI新時代】奪われるヒトの仕事 執筆・接客代替、弁護士ですら置き換わる? (4/5ページ)

2016.6.6 07:34

受け付け役のロボットに症状などの情報を入力する患者役の自治医大担当者=3月28日、東京都千代田区

受け付け役のロボットに症状などの情報を入力する患者役の自治医大担当者=3月28日、東京都千代田区【拡大】

  • AIやロボットなどの普及に伴う就業構造の変化

 憧れの職業から転落

 『コンピュータが仕事を奪う』の著書を持つ国立情報学研究所の新井紀子教授によると、難関の司法試験を課せられた弁護士ですら、AIに置き換わるという。膨大な判例を分析し、訴訟の方針を立てる仕事をAIが肩代わりすれば、業務の負担は大幅に減る。安価に仕事を受ける法律事務所が増え、「将来は数が5割減ってもおかしくない」と“憧れの職業”からの転落を予想する。

 AIの導入に背を向ければ、私たちの雇用は守れるのか。答えは「ノー」だ。

 経済産業省が4月に公表した試算によると、AIやビッグデータなどの技術革新に対応せず、現在の産業構造を維持した場合、2015年度に6334万人だった国内従業者数は、30年度で735万人減と1割超の雇用が失われるという。

 しかも、AIやロボットを生み出す先端分野の業種は海外に流出し、中核を成す付加価値の高い業種も縮小、AIで代替可能な業種での雇用が増え、低賃金化が進む、という見通しだ。

 半面、AIなどの技術革新を積極的に取り込んだ場合の試算でも、30年度の国内雇用は161万人減少する。経産省幹部は「AIの進化で産業再編や雇用の流動化は避けられない」と認めつつ、「痛みを伴う転換をするか、安定したジリ貧をとるかの違いだ」と指摘し、技術革新への対応を急ぐべきだと強調する。

「人間とAIの共存が進めば少子高齢化による労働力不足の解消につながる」

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