また、先ほどの所得データと併せて推測すると、実績のある弁護士さんの年収も幾分下がってはいるものの、おそらく最近合格した人たちの中に、圧倒的多数の貧乏弁護士が発生したのではないでしょうか。
しかし、このことは、弁護士さんや弁護士を目指した人にとっては不運だったかもしれませんが、多くの日本人にとっては、むしろ「幸運な見込み違い」といえるのではないでしょうか。アメリカのように、すぐに訴訟を起こす社会、弁護士が自己PR合戦を繰り広げる社会が、決して日本人が望む幸福な世の中だとは思えません。
弁護士ドットコムは、WEB上で法律相談や弁護士を探せるサービスです。一昨年末に東証マザーズに上場し、順調に業績も伸ばしています。この会社以外にも、弁護士事務所の販売促進を支援する、コンサルタント会社や広告代理店も出現しています。
さて、冒頭のテレビCMや広告。一部のPRが上手な法律事務所と、それを支援する周辺業者の象徴と言えるでしょう。その一方で、依頼者の立場になって真面目に取り組んでいるものの、自己PRに関心がなかったり、下手だったりして、貧困化している弁護士がいるのも事実です。それが競争社会といってしまえばそれまでですが、あまり行き過ぎると、結局は弁護士業界全体の信頼を失うのではないでしょうか。
(新経営サービス 常務取締役 人事戦略研究所所長 山口俊一=文)(PRESIDENT Online)