
治療前、古い血栓で閉塞した肺動脈の末梢血管(国立循環器病研究センター提供)【拡大】
かつては開胸手術で血栓を除くしか治療法がなく、手術をしても末梢(まっしょう)血管の血栓までは除去できないことや、手術のリスクが高い高齢の患者をどうするかが課題だった。だが最近5年ほどで、先端に風船のように膨らむバルーンがついたカテーテルを首や足などの血管から挿入し、血栓のある場所をバルーンで広げて血液を流すカテーテル治療法が定着。併用できる治療薬も増え、治療を受けた患者の6割で、日常生活に支障がないレベルまで回復が見込めるようになった。
家族と筆談
大阪府東大阪市の主婦、田中景子さん(54)は40代後半の平成21年ごろから階段を上がるのが苦しくなった。徐々に食事が喉を通らなくなり、だるさなどの症状が深刻化。息が続かず長く話せないため家族とは筆談、胸が締め付けられるように苦しく、意識が遠のくこともあった。いくつかの病院で受診したが、「更年期障害や精神的なもの」といわれるだけだったという。
25年7月に受けた心臓エコー検査をきっかけに同年10月、CTEPHと診断された。27年7月までに計6回、カテーテル治療を受けて少しずつ症状が改善し、現在は日常生活にほぼ支障がなくなった。田中さんは「常に苦しく、生きた心地がしなかった。もっと早く治療を始めたかった」と振り返る。