革新の味は伝統に…池波正太郎ら多くの文士が愛した名店「資生堂パーラー」 (1/3ページ)

池波正太郎の接客もしたというサービススタッフの栗原昭広さん
池波正太郎の接客もしたというサービススタッフの栗原昭広さん【拡大】

  • 池波正太郎が好んだ「ミートクロケットトマトソース」(手前)と定番の「ビーフシチュー」。レモン味のアイスクリームソーダ(奥)は上品な味わい
  • 資生堂パーラー銀座

 東京・銀座の目抜き通りに店を構える「資生堂パーラー」。西洋料理レストランの草分けとして、食通だった池波正太郎をはじめ、多くの文士に愛された。本物を追求し続けた革新の味は伝統となり、今も多くの人を魅了している。(油原聡子)

 米薬局モデル

 平成13年に建て替えられた東京銀座資生堂ビル。レンガ色に彩られ、文化の発信地、銀座のランドマーク的な存在だ。資生堂パーラー銀座本店が入居するのは、ビルの4、5階。吹き抜けの優雅な空間が、昭和を彷彿(ほうふつ)とさせる。

 本店支配人の阿久津厚男さん(48)は、「西洋の文化を日本に伝えるという思いの下、創業しました。定番レシピのメニューは代々受け継がれ、伝統の味を守り続けてきました」と話す。

 明治5年、洋風の調剤薬局としてこの地で開業した資生堂。創業者、福原有信が米国視察の際、薬局の一角でソーダ水が販売され、人々の憩いの場となっているのを見たことが、35年の「資生堂パーラー」誕生のきっかけとなった。

特に人気が高いのがフランス風コロッケの「ミートクロケットトマトソース」