革新の味は伝統に…池波正太郎ら多くの文士が愛した名店「資生堂パーラー」 (2/3ページ)

池波正太郎の接客もしたというサービススタッフの栗原昭広さん
池波正太郎の接客もしたというサービススタッフの栗原昭広さん【拡大】

  • 池波正太郎が好んだ「ミートクロケットトマトソース」(手前)と定番の「ビーフシチュー」。レモン味のアイスクリームソーダ(奥)は上品な味わい
  • 資生堂パーラー銀座

 米国からグラスやシロップを輸入して作られたハイカラな飲み物はすぐに銀座の名物になった。関東大震災による店の建て替えを経た昭和3年、本格的な西洋料理を供するレストランに。おしゃれなモボやモガ(モダンボーイ、モダンガールの意)でにぎわったという。

 「持続の美徳」

 引き継がれてきたレシピの中で、特に人気が高いのがフランス風コロッケの「ミートクロケットトマトソース」。

 「当初は庶民の味だったコロッケを、メニューに入れることには反対もあったようです」と阿久津さん。

 資生堂によると、大正時代、皇太子さま(後の昭和天皇)の午餐(ごさん)会に出されたフォアグラ入りのコロッケを目にし、感動した当時のシェフが「レストランにふさわしい高級コロッケを」と、生み出したのだという。

池波正太郎は10代の頃から通っていたという筋金入り