東大合格だけではない ネットの高校「N高」がめざす医師やグローバル人材の育成 (2/3ページ)

N塾での偏差値上昇ぶりを紹介するカドカワの川上量生社長
N塾での偏差値上昇ぶりを紹介するカドカワの川上量生社長【拡大】

  • N高開校から半年、保護者の満足度も7割以上を確保している

 この時点の成績で合格となると難しいが「可能性はゼロではない」と川上社長。受験までの追い込みによって成績を積み増し、目標だった東大合格者を出すことで、親も安心して学ばせられるシステムを持った通信制高校という認知を得たいと意気込む。

 難関大学への進学支援では、「代ゼミNスクール」も展開している。「N高」のカリキュラムをこなしつつ、週に1日から6日、希望する日数だけ代々木ゼミナールに通学しながら学ぶコースで、初年度は18人が受講している。こちらも成果は上々で、1年生でありながら偏差値66を叩き出す生徒が出るなど、それぞれが順調に成績を上げてきている。映像と対面での授業があり、個別指導も受けられるコースに、保護者からは「上質な授業でモチベーションが下がった時も復活してくる」といった声が寄せられている。

 大学進学ばかりではない。通常の高校としてのカリキュラムでも生徒やその親から好評を得ているようだ。「面白い授業がモチベーションの維持に繋がる」といった声や、「ネットでもリアルでも交流がある」と、ニコニコ超会議への出展、沖縄でのスクーリングといったリアルに出会う場を用意している体制を評価する声があり、生徒の満足度は82.8%に達しているとアピールした。漁業や刀鍛冶などを体験する職業体験については満足度100%。押しつけではなく、現場で自分たちなりに考えて取り組むようにしている点も高評価につながっているようだ。

 確実に成果を出し始めている「N高」だが、その挑戦はまだ続く。東大をめざす「N塾」や、難関大への進学をめざす「代ゼミNスクール」に加えて、新たに医学部や医大に進みたい学生のための専用プランを2017年4月、「代ゼミNスクール」の中に開設する。

 志望校の受験科目に特化した学習指導を行うのは当然として、卒業後に医師となる人に持っていて欲しい教養を身につけさせる、Y-SAPIXオリジナルの「リベラル読解研究」を提供。生徒は哲学や歴史、経済といった分野に関する書籍を読んで討論を行い、知識やコミュニケーションを身につける。

学力だけを伸ばす教育とは違い、人間性の育成にも目を配った学校