
無風状態のなか、取材をしている筆者のそばに来てくれた浮島!【拡大】
自然豊かな山形県中部、朝日町の山間にたたずむ浮嶋稲荷神社の境内に大沼がある。1周約30分、水深3メートル。白鳳9年、680年頃に山岳修験者が発見したとされるこの沼には、密集したヨシの根の上に植物が自生した小島が大小60余りあって「大沼の浮島」と呼ばれている。
そして、不思議なことにこれらの浮島は動くのである。風や水の流れは関係なく、原因は解明されていない。同神社の宮司、最上俊一郎さんによると、一列に並んで動いたり、夜の間は遊んでいるように動いて朝になると沼の淵に戻ったり。雨の日は木の下で雨宿り、夏には暑さを避けているのか、日陰で静かにしているという。
私も島が動く姿を見たくて最上さんに案内してもらった。すると、快晴の中、無風にもかかわらず、めったに動かないという浮島が2つ、ゆっくりゆっくり、50メートルほどの距離を30分かけて、私たちの方に近づいてきた。取材を歓迎してくれたのかしら。驚き以上に気持ちよさそうに泳ぐ浮島が愛おしい気持ちでいっぱいになった。
この神秘的な光景を求めて外国からの訪問者も増えている。1300年以上も信仰の対象となってきた大沼の浮島は、21世紀の今も謎多きパワースポットなのである。
【luxe(リュクス)】 フランス語で元の意味は「贅沢」。最近は優雅で上品でありながら、洗練された贅沢なもの・ことなどの意味で使われる。
<プロフィル>
きくち・きみこ NHK山形放送局を経て、小学校教師に転身。その後フリーアナウンサーとして、司会をメインに活動。
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