
近畿大農学部の学生が育てたミニトマトを使い、デザートを調理する同学部の学生ら=奈良県生駒市乙田町の近大医学部奈良病院【拡大】
同病院が病院食の向上に取り組み出したのは昨年6月。同年4月の診療報酬改定で、病院食の患者負担が1食あたり260円から360円に上がったことがきっかけだ。患者負担が増える分、より食事の質を上げようと同病院は農学部と連携し、「食事満足度向上プログラム」をスタートさせた。
プログラムでは、農学部の学生が栽培した農作物を病院の献立に取り入れ、調理も学生が行うことで安心・安全をアピールする。7月に提供されたデザートに使ったトマトは農学部が無償提供、調理する学生もボランティアだという。年数回の食事提供を計画し、夏祭りやクリスマスイベントなどにも学生が参加して盛り上げる予定だ。
農学部の木戸慎介准教授(臨床栄養学)は、「病院食予算には限りがあり、食材費をかけただけで食事の満足度を上げることは難しい」と指摘する。その上で、「学内病院なので、農学部や農場のハード面と、学生の力というソフト面を生かすのが目標。かつてのおいしくない病院食のイメージを払拭するアプローチをしたい」と話した。