学校の「滞在時間」が短いイタリア 多様な価値観享受するチャンス (2/3ページ)

 1日中、学校生活に浸りきり夕方まで部活で汗を流すのが中・高校生の典型的な生活サイクルと思っていたぼくにとって、ミラノのスクールライフは当初、何とも物足りないものに見えていた(ただ単位取得は厳しく、高校入学時、1学年は1クラス25人の6クラスでスタートしたが、毎年、合計1クラス分の生徒が落第して転校などを余儀なくされ、この9月から4クラスで3年目がはじまる)。

 学校で授業が終わったら、ほとんど即帰る。だいたいお腹が減っていることもあるが、あまり友達とつるんでダラダラとしない。昼食を一緒にとるならば前日から「明日はピッツァを食べよう」と約束する。帰宅途中に「ちょっと食べていこうか?」と何となく誘い合うパターンではない。

 スポーツクラブに行かせても週2-3日が限度で、それ以上の日数は「運動のし過ぎは身体に良くない」と指導される。

 しかし、この「物足りないシステム」がだんだんと良いものに見えてきた。

学校中心ではない生活とは価値の分散であり、また子供にとっては多様な価値を享受するチャンスなのだ。

 それだけではない。いじめの発生を抑制する作用がある。ミラノの中高校にもいじめは当然あり、深刻な事件もある。

 が、四六時中、同じ仲間と行動を共にするのではなく、複数の社会に入っているため、一つのコミュニティでの嫌なことを別のコミュニティで打ち消しやすい。いじめが陰湿化されにくいのだ。

 日本での自分の学校経験を基準におき、イタリアの学校生活のネガティブな部分ばかりに気をとられていると、なかなか見えなかった部分である。

子供の「没入しない生活」を親も支えたい

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