「SNSで情報発信しているのですが、検索で見つけてくださる方が多いようです」(本田氏)というから、レンタサイクル需要と供給の不一致が背景にあることもうかがえる。
ちなみに愛知県の名鉄犬山線沿線には複数の拠点が近隣に固まって所在するが、これはスペース24単独の民間事業であるため、「拠点A→拠点B」の片道利用には対応していない。やはり回収と再配置の人手とコストが壁になっているようで、ただでさえ自転車のコンディション維持のために毎月1回業者にメンテナンスを依頼する費用がかかるところに、毎日の人員投入が必要になる再配置までをする余裕はないということだ。
しかしこれが1社による民間事業ではなく、東京での実証実験のように自治体が主導するものだったらどうだろう? スペース24のような複数企業の拠点を広域ネットワーク化して利便性を高めることも可能なのではなかろうか?
▽名古屋市で行われていたコミュニティサイクルの社会実験
じつはスペース24の本社とレンタサイクル拠点のある愛知県名古屋市では、2006~10年にかけて「名チャリ」という社会実験が実施されていた。同市では年間約8万台(07年度)の放置自転車を撤去し、そのうち約3万台を廃棄していたが、そうした放置自転車の一部をコミュニティサイクルとして再利用することから始まった社会実験だ。
09年には名古屋駅から繁華街の栄地区までの東西2kmほどの範囲内に30カ所の拠点を設け、自転車300台(新品200台/リサイクル100台)を用意した。全国最大規模の社会実験となったその年には登録者約3万人、総利用数約9万9000回、1台/日あたり平均5.5回という成果を挙げたが、翌10年にはサービスを有料化したことで登録者は2000名弱に急減、利用回数も前年の三分の一程度に減少した。ただし1名あたりの利用回数は3.2回/人から13.8回/人と大幅に増加しており、リピーターが定着する兆しも見られた。