比較してみて
おたふくかぜのワクチンはウイルスを弱毒化した生ワクチンだ。平成元年~5年の間は、はしか、風疹との混合ワクチンとして原則無料の定期接種だったが、発熱、頭痛、嘔吐(おうと)などが主症状の無菌性髄膜炎の副作用が問題になり、中止された。以降はおたふくかぜワクチン単独の任意接種となり、接種率は30~40%に低迷。このため定期接種が広く導入されている他の先進国でほぼなくなった流行が、日本では繰り返し起きているとされる。
厚生労働省の審議会は25年、おたふくかぜワクチンの定期接種化に向け、今より安全で効果の高いワクチンの開発を企業に促したが、実用化に向けた具体的な動きはまだ見えない。
国立感染症研究所感染症疫学センターの多屋馨子室長は「より良いワクチンの開発は必要だが、現行ワクチンも自然感染と比較すれば安全性は高い」と指摘した上でこう話す。
「思春期以降の男性が初めておたふくかぜにかかると、つらい痛みがある精巣炎が20~40%にみられるが、ワクチンではほとんど起きない。難聴もワクチンでは頻度が不明なほどまれ。問題と指摘される無菌性髄膜炎も自然感染よりずっと少ない。こうしたことを踏まえてワクチンについて考えてみてほしい」