夏の暴飲暴食も影響
厚生労働省が発表した「平成28年人口動態調査・急性心筋梗塞による死亡数」を見ると、気温が低下する季節に血管事故の発生が多いことが分かる。
27年10月の死亡者数は全国で2847人。その後、11月は2939人、12月は3601人、28年1月は4118人-と増え続け、2月以降は夏にかけて少しずつ減っていく。毎年同じ傾向だ。
池谷院長は、気温の低下だけでなく、夏の間の過ごし方とも関係があるという。「夏にのどごしのいい麺類に偏った食事が多くなり、ビールを飲む機会も増えれば塩分や糖質の摂取量が多くなる。血圧や血糖値の上昇を引き起こし、“血管力”が低下する」と指摘する。
生活習慣の蓄積で
こうした状態で秋を迎えると、一日の気温の変動が大きかったり、スポーツの秋だからと急激に運動したりすると、血管事故を招く可能性が高くなる。
また、動脈硬化について池谷院長が強調するのは、男性は30代、女性は40代から始まる-という点だ。「食の欧米化、運動不足、不規則な睡眠時間など、生活習慣の乱れを背景に、20~30代の若者でも動脈硬化が見られるようになった」
男性が30代から血管事故のリスクが高まるのは乱れた生活習慣の蓄積が原因とみられる。一方、女性が40代から注意が必要となるのは、生活習慣のほか、女性ホルモン(エストロゲン)の減少もある。