【視点】人生100年時代 定年女性の再就職を充実せよ (2/3ページ)

 多くの人は自分の人生をかなり短めに見積もっているのである。簡易生命表によれば50歳女性の平均余命は38.21歳で、想定寿命と9.41歳の開きがある。男性に比べて寿命が長く、自分の想定以上に長い老後を念頭に置いて準備せざるを得ない。

 では、どうしたらよいのか。老後の生活資金の主柱といえば、多くの人は公的年金であろう。老後の長さを考えれば少しでも受給額を増やしたい。そのためには、働けるうちは働いてできるだけ受給を繰り下げることだ。政府には、一定以上の勤労収入がある場合に年金受給額を減らす在職老齢年金制度の廃止が求められる。

 とはいえ、収入のあてもなく受給開始年齢だけを繰り下げるわけにはいかない。そこで考えなければならないのが定年後の再就職である。

 ところが、女性には厳しい現実が立ちはだかる。第一生命経済研究所が定年前後に再就職した60代に調査を実施しているが、男性は「退職前から決まっていた」が36.8%、「満足できる再就職先がすぐに見つかった」が30.3%と、約7割はスムーズに決まっている。一方、女性は22.2%、17.8%と苦戦ぶりがうかがえる。

 男女の差が生じる要因としては企業側の責任も小さくない。男性は「前の勤め先が紹介してくれた」が26.3%なのに対し、女性はわずか4.4%にすぎない。

 50代後半の女性の53.0%は勤務先から定年後の仕事に関するアドバイスや情報提供を受けておらず、多くはハローワークや友人・知人、インターネットを使い、自ら情報を集めているのである。こうした状況を見越してか、定年前に60歳以降も働ける会社へ転職したり、起業に踏み切ったりする女性は増加傾向にある。

かつて経験したことのない規模で女性の定年退職者が登場する