一方、一つの会社に勤め続ける人も珍しくなくなった。厚労省の「雇用均等基本調査」(16年度)によれば課長相当職以上の管理職の12.1%は女性だ。1986年の男女雇用機会均等法の施行以降、結婚や出産後も働き続ける女性は徐々にではあるが増えてきている。
■
男女雇用機会均等法の施行年に四年制大学を卒業して就職した女性の多くが2023年には60代に突入する。この世代は途中で退職した人も少なくないが、彼女たちより少し後の世代は働き続けている割合が増えてきている。今後の日本社会には、かつて経験したことのない規模で女性の定年退職者が登場するということである。
企業には女性が定年退職まで働くことすら、あまり想定してこなかったところもある。だが、平均余命の長さを考えたとき、定年女性の再就職の受け皿をしっかり整えなければ「人生100年時代」を乗り切ることはできない。政府を含めた「女性の定年後対策」が急がれる。