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実際、性体験のない若者が増えた。出生動向基本調査をみると、20~24歳の男性で「性体験のない未婚者の割合」は47.0%(2015年)。10年前の33.6%(05年)に比べて13.4ポイントも上昇している。この傾向は女性も同じだ。私の定点観測でも、男子学生は05年頃から、女子学生は10年頃から飲み会でシモネタを避けるようになった。
他者に対して想像力を働かせられない
社会学には「主体性」の概念がある。人間の「意識」は3000年ほど前に「文字」の普及によって生まれた。それ以前も「言葉」はあったが、歌や踊りとともにあり、ダイレクトに感染を引き起こす道具だった。文字が普及すると、ダイレクトな反応に代わって、自分の反応に対する自分の反応に対する自分の……といった反応の再帰性(折り返し)が生じるようになる。これが「意識」だ。
たんに怒ったり悲しんだりするのではなく、怒っている自分を見て悲しんだり、悲しんでいる自分を見て怒ったり。そのぶん具体的反応を相手に返すまでに遅れが生じ、再帰性の高次化に伴う個性が「主体性」を与え、抽象的思考が可能になる。
絵文字やスタンプを使った即時のやりとりは、「主体性」を抹消した「自動機械」を生む。個性はなく入れ替え可能だ。むしろコミュニケーションに遅れが生じると「意識」や「主体性」の働きを目ざとく見つけられて叩かれる。それを恐れるから「意識」を禁圧、「自動機械」に埋没したがる。その結果、昨今の若い世代は、文脈を分析して「他者に対して想像力を働かせる」ことができなくなった。
先行世代のやり方は「暗記」してしまえ
2つ例を挙げる。
私は大学でゼミナールを開講している。あるとき高熱が出て、保健センターから、インフルエンザの恐れがあるので授業を休止しろと言われた。偶然通りかかったゼミ生にインフルエンザで休講すると伝えて帰宅した。当然メーリングリストでほかのゼミ生に伝えてくれると思ったら、ゼミ生らから僕を長時間待っていると連絡がきた。後日、尋ねたら、その彼は「伝えろと言われなかったので…」と返答した。Oops!!