「僕もお金を稼ぎたい」44歳、ひきこもり27年目の逆襲 前編・知っておくべき支援制度 (2/5ページ)

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 長男の希望は「通院したい、年金もらいたい、働きたい」

 困り果てたという表情でお母さんも言いました。

 「私たちも何とか手助けをしてあげたい気持ちはあるのですが、あいにくパソコンがあまりできません。市役所に相談に行くといっても、どの課に行ったらいいのか。一体どうしたらいいでしょうか?」

 ひきこもり状態の人への公的な支援制度はいろいろあります。しかし、数多くあるがゆえに、何をどうお願いすればいいのかわからなくなることもあります。まずは、目指すべき方向をはっきりとさせる必要があります。そこで私は長男に、「将来的にはどんな状態や状況になっていたいですか?」と聞きました。

 答えはこうでした。

 「まずは、精神的に安定したいので病院に通院したいです(*編注:情緒が不安定なときがあり、親に当たったり独り言を言ったりすることがあった)。あと、障害年金というものも調べてみましたが、僕は対象になるのでしょうか? そして何より、できれば働いてお金を稼げるようにもなりたいです。今は自信がないのですぐには難しいと思うのですが……」

 ご家族のお話をじっと聞いていたIさんが質問をしてきました。

 「通院したり支援を受けたりするとお金もかかりますよね? 前回の相談で支出の見直しをしていただいたのに、また赤字が膨らむんじゃないかと心配です」

 お父さんのご心配もごもっともです。

 ▼親の心配は「通院などにお金がかかること」

 家族のお話をまとめるとこうなります。

 ・通院したい

 ・障害年金も検討したい

 ・できれば就労もしたい

 ・支援の相談先がわからない

 ・通院や支援にいろいろとお金がかかるのではないか

 そこで、私は長男の希望に沿えるような支援制度のあらましを説明しました。

 長男は通院を希望していました。その長男が病気であるのかどうか、また、障害認定されるかどうか。この時点では不明ですが、Iさんはもし通院する場合、その費用が心配とのことでした。一般的に、長年引きこもり状態になっている人は精神的な疾患を抱えている場合が少なくありません。自宅での日常生活はできても、対人恐怖などで社会との交流が難しい場合、医療機関から治療の必要性を指摘されることもあります。

 よって、Iさんの家庭のような状況の場合、まずは「自立支援医療(精神通院医療)」の利用を考えるといいでしょう。

長男は障害年金の対象になるのか