思わずしびれた“上司のスピーチ” 中年親父は「人生には3つの○○」で差をつけろ! (2/2ページ)

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◆最も衝撃を受けた「3つの○○」

 しかし、だ。中年としては、この言葉に真摯に向き合うべきではないかと思った次第だ。いや、真摯に向き合うかどうかはともかく、中年たるもの、このように親父ギャグを通じて、人生訓のような、ちょっといい話をするべきではないだろうか。

 結婚式でいまやあまり聞かなくなった「3つの袋の話」「3つの坂の話」などを今こそ、我々はするべきではないか。そう、「人生には3つの袋が必要です。堪忍袋、知恵袋、胃袋です」「人生には3つの坂があります。上り坂、下り坂、そしてまさか!」みたいなやつだ。もう、こういうおっさん臭いスピーチをしても良い年代であるということを我々は認識したい。

 なお、この「3つの○○」で最も衝撃を受けたのは、鹿児島県枕崎市にある中原水産の社長、中原晋司さんによるものだった。彼は一橋大学時代のゼミの後輩だ。世界的なコンサルティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニー、ファンドを経て実家を継いだ。改革を行い、かつおを活かした出汁や煎餅などの加工品でヒットを飛ばしている。私も彼の会社の出汁を愛用している。「枕崎の出汁は、いいぞぉ」と『北斗の拳』のアミバ様風に叫びたい気分である。

 彼が先生のお子さんの結婚祝いで捧げた「3つの○○」がすごすぎた。なんと、「3つのアミノ酸」なのだ。

 結婚生活維持に有効な3つのアミノ酸を教えます。

 1.グルタミン酸。「こんぶ」で「こんじょう」を鍛えられる。

 2.グアニル酸。「しいたけ」で「しいたげられない」コツをつかめる。

 3.イノシン酸。「かつお」で夫婦力を合わせ、困難に「かつ」!!!

 素敵な「だしライフ」を満喫してください! 

 最高かよ! ちゃんと役立つ、ためになる話であるし、面白いし、自分の専門分野とも関係ある話になっている。

 披露宴や講演の機会では、私もこのような親父ギャグをお見舞いすることにしている。そういえば、元教え子の披露宴に呼ばれた際は、旦那さんが新宿と高尾や吉祥寺と渋谷をつなぐ鉄道会社の方だったのだが、「ここで西武鉄道グループの奴らは、3つの袋と言うときは、池袋と沼袋を入れるんですよ。ガハハ」と言ったところ、バカウケだった。

このような、親父トーク力こそ必要である。中年ども! 空気なんか読むな! 3つの○○で人生を語るのだ!

【お知らせ】12/5(火)にオフ会イベント「常見陽平のビバ!中年 大忘年会」を開催します。イベントMCは連載執筆者の常見陽平氏。ゲストとしてネットニュース編集者の中川淳一郎氏も登壇します。当日は「正しい中年の生き方」や「中年のカラオケ大会」を企画。バカ騒ぎしたい中年の皆さん、お待ちしております。

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【プロフィル】常見陽平(つねみ・ようへい)

常見陽平(つねみ・ようへい)千葉商科大学国際教養学部専任講師
働き方評論家 いしかわUIターン応援団長
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。リクルート、バンダイ、クオリティ・オブ・ライフ、フリーランス活動を経て2015年4月より千葉商科大学国際教養学部専任講師。専攻は労働社会学。働き方をテーマに執筆、講演に没頭中。主な著書に『なぜ、残業はなくならないのか』(祥伝社)『僕たちはガンダムのジムである』(日本経済新聞出版社)『「就活」と日本社会』(NHK出版)『「意識高い系」という病』(ベストセラーズ)など。

常見陽平のビバ!中年】は働き方評論家の常見陽平さんが「中年男性の働き方」をテーマに執筆した連載コラムです。更新は隔週月曜日。