若手に広がる「沈黙の謀反」 ブラック職場で攻撃的反応を引き起こす“負の構造”とは (3/4ページ)

 アブラハム・マズローの「欲求段階説」によれば、人は自分の安全が確保され、居場所が見つかり、そこで自分が認められるようになると、欠乏欲求から脱し、自己実現、すなわち成長欲求に向かうことができるといいます。

 でも、その先に、もう1つ人の原動力となる欲求が存在します。それが自己超越欲求です。自分だけでは幸せになれない、周囲の人が、コミュニティ全体が幸せにならなければ自分も幸せにならない。働き方も雇用形態も価値観も異なる人たちがともに働く時代の中で、新たな原動力が求められているのです。

 人がよりよく生きるための組織に変える

 グループウエア開発のサイボウズも、IT企業のご多分にもれず、社員の定着率の低さに悩んでいました。そこで大事なことに気づいたといいます。働くモチベーションは一人ひとり違う。だから100人、100通りの働き方ができる会社にしようと、個々のやる気や事情に合った働き方を選択できるようにしたのです。

 でもそれだけでは、バラバラになりチームワークが発揮できない。そこで2011年、人事部の中に「感動課」を設けたそうです。社員を感動させるイベントを仕掛けたり、社員同士の交流の機会をつくったりして、チーム意識を高めることを目標にしました。こうしたつながりを強化し、ともに働く喜びを実感する機会や場をつくっていきました。その結果、00年代半ばには28%あった離職率は、13年には4%に下がったといいます。

重苦しい職場を改革するにはどうしたらいいのか