「面接の様子は、全てではないですが定点で動画撮影しています。学生はどこを撮られているか分からない。“チッ”と舌打ちする学生、眉間にしわを寄せる学生も中にはいます。一般的な対人の面接と同じだということを認識してほしいです」(山﨑社長)
服装も気を抜けない。自宅で受けられることもあって、面接にふさわしくない格好で臨む学生もいる。
「肌着の男子学生も、ノーメイクの女子学生もいます。普通、面接官は女子学生が化粧をしていないとチェックします。同じように、AI面接でも記録されます」(山﨑社長)
◆大手人材会社でも開発が難しい理由
あったようでなかったAI面接サービス。どのような経緯で誕生したのか。
人材コンサルティング事業を手掛けるタレントアンドアセスメントは、企業の戦略的な採用活動を支援している。2014年、ソフトバンクグループの孫正義社長がペッパーをお披露目した際に、山﨑社長は「これだ!」とひらめく。「AIを面接官にできないか」-早速開発に着手し、2017年10月に「SHaiN」をリリースした。
「SHaiN」の鍵を握るのは、同社が7年前から蓄積してきた「採用メソッド」だ。AIを活用するには、あらかじめAIに学習させる「教師データ」が必要になる。教師データを読み込ませることで、AIは「このような入力には、このように出力する」と判断できるようになる。同社は顧客企業の面接官育成のために構築してきた「採用メソッド」を教師データに活用。大手人材会社がAI面接サービスを開発したくても難しいのは、このような適切な教師データを用意できないからだという。
◆AI面接の時代に「勝てる学生」は
実際にAIからどんな質問を投げかけられるのか。「SHaiN」はバイタリティ、イニシアティブ、理解力、ストレス耐性など11項目の資質を見抜くよう設定されている。基本的には過去の経験から、当時の状況、課題、行動、結果を聞き、その経験のハードルを判断している。