若者支援で高齢者に新たな生きがいを 「世代間ホームシェア」が増え続けるわけ (1/4ページ)

 東京近郊のある町で、大学生と高齢の男性が共同生活を送っている。21歳の三原尚人さんは大学3年生。片や自宅を提供している浅見重治さんは82歳。年齢差61歳の2人だが、親戚でも知人でもなければ、下宿生活でもない。彼らの暮らし方は、「世代間ホームシェア」と呼ばれるスタイル。いま全国各地で静かに広がっている新しい暮らし方である。

▽「若いうち」しかできない経験

 学校から帰った三原さんは、毎晩、浅見さんが作る夕食を一緒に食べるのが習慣だ。食事が終わったら、食器を洗って片付けるのは三原さんの担当。その後は、テレビを見ながら雑談をするなど、思い思いの時間を過ごしている。

世代間ホームシェアをする三原さん(左)と浅見さん。つかず離れずのよい関係を築いている

世代間ホームシェアをする三原さん(左)と浅見さん。つかず離れずのよい関係を築いている

 なぜ、この暮らし方を選んだのかを三原さんに聞いてみた。

 「大学2年までは、独り暮らしだったのですが、毎月10万円以上の生活費がかかり、出費がかさんでいました。その時、テレビのニュース番組で知ったのが、世代間交流ホームシェア。大学院に進みたいと考えているので、学費を貯められるかもしれない、と応募しました」

 「経済的な理由もありましたが、それ以上に60歳も年の離れた人と住むということ自体に興味があったんです。こういう経験は若いうちじゃないとできないと思ったこともあります」

 一方の浅見さんは、この家の主。奥さんを亡くされた後、長らく独り暮らしをしてきた。そんな父親を心配した娘さんが勧めてくれたのが若い人と同居だった。

二人の共通の趣味とは…