「福祉・介護」破綻が急増 成長市場のはずが…トリプルパンチで淘汰が加速 (3/4ページ)

 形態別では、事業消滅型の破産が107件(前年度102件)と全体の9割(構成比93.0%)を占めた。一方、再建型の民事再生法は3件(前年度1件)にとどまり、業績不振に陥った事業者の再建が難しいことを反映した。

 地区別では、全国9地区すべてで倒産が発生した。最多は関東の39件で、次いで近畿22件、中部17件、九州15件、北海道7件、中国5件、東北4件、北陸4件、四国2件の順。前年度比では、北海道、中部、北陸、四国の4地区で前年度を上回った。

◆「給付適正化」と「収益優先」に落とし穴

 厚労省の社会保障審議会・介護給付費分科会の諮問に沿って2018年度の介護報酬改定は、0.54%引き上げられた。

 ただ、プラス改定になったとはいえサービス種別によって明暗が分かれ、通所介護では事業規模やサービス提供時間に応じた基本報酬の細分化など「給付適正化」も進められる。さらに、医療と介護の連携が強化されたことにより今後は新規参入の障壁が高まることも予想される。

 老人福祉・介護業界の顧客は、身体介護や生活援助が必要な高齢者を中心にするため、採算重視だけでなく顧客が心身ともに満足できる良質なサービス提供が求められる。

「収益優先」で道踏み外す事業者も