近くに住む80歳の主婦は「毎日の主食なので、なるべく体に良いものを選ぶ。最近、白米はあまり食べないようにしている」と棚を見て回っていた。
◆「金のいぶき」
栄養価が高い半面、玄米にはぼそぼそして食べにくいというイメージがある。しかし、「金のいぶき」は、もちもちした食感と甘みのある味わいが特徴だ。
宮城県の農業試験場で誕生。高機能玄米協会(横浜市)に加盟する食品メーカーなどが平成26年から販売しており、この1、2年で売り上げは大きく伸びているという。
金のいぶきは、胚芽の大きさが普通の玄米の約3倍ある。血圧を安定させる効果があるとされるアミノ酸の一種のGABA(ギャバ)やビタミンEなどの栄養成分を豊富に含む。食物繊維も豊富だ。
また、でんぷんのアミロースの含有量が少ないため、炊いた際の食感にはもちもち感があり、胚芽独特のぷちぷち感も味わえるのも特徴だという。
玄米食の普及を目指す同協会は、「金のいぶき」を使ったのり巻きやリゾットなど和風、洋風のさまざまなメニューをホームページで提案。担当者は「玄米がコメ消費量の低迷を下支えできれば」と期待する。
◆発芽でさらに甘み
健康食品メーカーのファンケル(横浜市)は、この品種を独自の製法で加工した「発芽米 金のいぶき」(1キロ入り1080円)を通信販売や店頭で扱っている。胚芽部分を発芽させることで酵素が発生し、栄養価が一段と高まり甘みも増すという。
生活習慣病が気になる中高年層を中心に定期的に購入する客が多い。担当者は「白米に少量を混ぜる雑穀に比べて、1食で多くの量を食べられるのも利点。さらに健康への良さを訴えたい」と意気込む。