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叱られていない子は「本番に弱い」 「褒めて伸ばす」ブームで子が潰れる (4/4ページ)

 だから、短時間に簡潔に叱って、少し優しく聞いてほしい。「何が悪かったのか、次にどうすればいいかを教えて」。そして少しずれているなと思ったらその場で修正して、復唱させる。このアプローチは子供でも、新入社員でも同じこと。どうせ注意するなら、効率よく叱りたい。

 叱られていない子が「本番に弱い」理由

 親は叱るときには決して感情的にならず、短時間で、ピンポイントで叱り、逆に褒める場面がやってきたら少しおおげさに褒める。そんなメリハリが有効だ。

 中学受験を考えている家の保護者にありがちなのは、塾内のテストや模試の「結果(点数)」に関してくどくど叱ること。子供なりに勉強して努力した上での結果なのだから、それをとがめても意味はない。

 親としては、安くはない塾費を投じているのだから、ちゃんと元を取ってくれよという気持ちもあるかもしれない。しかし、点数の低さを叱れば、自己肯定感が下がり、教育費の費用対効果はさらに低下することになる。この場合は、叱ることは避け、親子で今後の方策を一緒に考えていくという姿勢が重要だろう。

 かといって、何でも「褒めて伸ばす」では困る。「悪いことは悪い」とはっきりさせないと、自己肯定感だけが強く、悪事を平然と行える人になってしまいかねない。勉強のプロセスに問題があったり、悪いことをしたりした場合には、きっちり叱らないといけない。

 注意されるべきときに甘やかされた子供は、ここぞという時に実力を発揮することもできない。勝負どころで結果を出せるタフなメンタリティーは、甘やかされた環境では身につかない。緊張感のある場を経験したり、厳しい環境を耐えたりすることで身についていくものだ。

 だから、叱られてもどこ吹く風のお調子者タイプだからといって悲観する必要はない。タフなメンタリティーの持ち主であること自体が貴重なのだ。その「才能」を認めてあげて、必要なときにはしっかり叱ってほしい。

 (中学受験専門塾ジーニアス代表 松本 亘正 写真=iStock.com)(PRESIDENT Online)

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