ネットの医療広告に法規制 個人の主観的体験談は× (4/5ページ)

医療機関のサイトに目を光らせるネットパトロールのスタッフら=東京都千代田区の日本消費者協会
医療機関のサイトに目を光らせるネットパトロールのスタッフら=東京都千代田区の日本消費者協会【拡大】

  • 治療前後で条件の違う画像を比較している例

 ある自費診療を推奨するサイトには、肝臓がんの「治療前・治療後」のCT(コンピューター断層撮影)画像が掲載されている。イラストは、それをモデル化したものだ。若尾センター長は「治療前の写真では大動脈や血管が白っぽく映っており、治療後の写真では黒っぽく映っている。これは、治療前の写真は造影剤を使って撮り、治療後の写真は造影剤なしで撮ったため。同じ条件で撮れば、治療後の画像にも腫瘍が映った可能性がある」と指摘する。

 撮影条件を変えるこうした手法以外にも、さまざまなトリックがある。

 別の自費診療を行うクリニックは、腎がんの患者のCT画像を時系列で並べている。画像は、腎がんが大きく映る位置から、少しずつ低い位置での画像へ移行しており、腫瘍が小さくなったように見える。

 他にも、腫瘍が小さく見えるように胃のエックス線写真を斜めから写したり、保険適用の治療を併用する患者の腫瘍の縮小を、自院の治療効果として掲載したりするところもある。

 若尾センター長は「術前・術後の画像が同じ人のものなのか、時系列は正しいのか、本当のところは分からない。クリニックのなかには改正医療法を見据えて、サイトから事例写真を削除し、資料請求や説明会などの規制されない場に移す動きもある」と潜在化を心配する。

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