【リーマン危機10年(1)】格差続く日本経済 幸福とは、変化した価値観 (3/3ページ)


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 価値観の変化は、混乱の渦中にいた真鍋邦大(くにひろ)(40)も感じた。真鍋は10年前、リーマン・ブラザーズ証券の社員だった。東京大大学院を修了後、「早く一人前になって稼ぎたい」と選んだ就職先。地銀などに国債や証券化商品を販売する営業マンとして、4年目で100億円単位のお金を動かすようになり、十分な収入も手に入れていた。

 だが、会社の破綻後、香川県の実家で1カ月ほど暮らすと、地元では時間がゆっくりと流れ、人々は子供や家族と過ごす時間を大切にしていた。「地方は疲弊していると思っていたのに、むしろ幸せそうだ」と感じた。

 その後も、いったんは外資系証券会社に再就職するが、12年に退職。小豆島を拠点に四国の食に関する情報を発信しながら農産物を販売する事業などを手がけ始めた。

 年収は当時の5分の1程度に減少したが、「笑顔にできる人の数は比べものにならないほど増えた」と話す。

 博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダーの原田曜平は指摘する。「頑張っても見返りは限定的と考え、車や高額商品へのあこがれはない。それでも幸福を感じている。そんな若者が今後も増えていくにちがいない」(敬称略)

【用語解説】リーマン・ショック

 2008年9月の米証券大手リーマン・ブラザーズの経営破綻をきっかけとする世界的な金融・経済危機。信用力の低い人などを対象とした住宅ローン「サブプライムローン」に関連する金融商品などの価格下落で高まっていた金融機関の信用不安が、一段と深刻化した。世界的に株価が暴落し、実体経済にも悪影響が及んで世界同時不況に陥った。

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