高齢と障害の「まるごとケア」“半農半介護”で地域再生模索
人口減少と高齢化が進む地方都市では、これまで制度上区分されてきた高齢者福祉と障害者福祉のサービスを一体的に提供する機運が高まっている。農林水産業などの衰退を背景に、介護や福祉が農業と連携する“農福連携”や“半農半介護”の取り組みも注目される。最前線を訪ねた。
“境目”ない事業
「里・つむぎ八幡平」が運営する「まるごとケアの家」では、認知症の高齢者と障害者が一緒に日中を過ごす。この日は昼食後、障害のある女性が食器を運んだり洗ったりするかたわら、認知症の高齢女性が茶碗(ちゃわん)を拭き始めた。
理事長の高橋さんは、「おばあちゃんたちは障害のある人を気にかける。障害のある人は、自分たちも仕事ができると分かり、役に立ちたいと思う。目に見えない相乗効果がある」という。ここでは当初から、両者が一緒に暮らす「共生型グループホーム」など“境目”のない事業を目指してきた。人口が減る地域で高齢と障害を厳密に区分すると、将来性がないと判断したからだ。