営業成績最悪の元リクルート営業マンから転身した男が説く「職務経歴書」のススメ (3/3ページ)

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 私の場合で言うならば、希望外の営業配属などがそうだ。「トップレス営業マン」と呼ばれるほど、成績は悪く、宴会芸くらいしかウリがなかったが、それでも営業の虎の穴と言われた当時のリクルートで、法人営業を2年経験したことは、世の中から見ると価値のある経験である。実際、当時学んだことは、交渉事にあたる際の武器になっているし、初対面の人に分かりやすく話すという技術の基礎となり、現在の評論家としての活動に役立っている。何度か、求人サイト、宿泊予約サイトの企画担当をしたこともある。これも、大した成績は残すことはできなかったが、それでも知名度の高いメディアに関わった経験は貴重だし、現在の仕事にも役立っている。

 このように、毎年、この時期に職務経歴書を読み直し、書き直すことはキャリアの棚卸しという点で意味がある。ぜひ、取り組んでもらいたい。

 職務経歴書を人に見せてみよう

 職務経歴書を書いたのなら、せっかくだから人に見せてみよう。一人では気づかない、自分の強みを発見できるからだ。

 私が推奨するのは「エア転職」だ。すぐに転職する気がなくても、人材紹介会社や転職サイトに登録してみよう。現在では、積極的に転職する気がない、転職潜在層向けのサービスも存在する。登録しておくと、スカウトがくる可能性もある。転職すると年収が上がるのか下がるのか、どのような業界に転職できるのか、より規模が大きい企業に転職できるのかなど、自分の可能性を確認することも可能だ。

 また、友人・知人に人事担当者や、人材ビジネス関係者がいたら、彼らに見てもらうのも手だ。何が評価されるのか(されないのか)がわかる。

 意識高い系アピールよりも、振り返りこそ大切だ。職務経歴書を書くこと、エア転職してみることで、今年を振り返ってみよう。

【プロフィル】常見陽平(つねみ・ようへい)

常見陽平(つねみ・ようへい)千葉商科大学国際教養学部専任講師
働き方評論家 いしかわUIターン応援団長
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。リクルート、バンダイ、クオリティ・オブ・ライフ、フリーランス活動を経て2015年4月より千葉商科大学国際教養学部専任講師。専攻は労働社会学。働き方をテーマに執筆、講演に没頭中。主な著書に『なぜ、残業はなくならないのか』(祥伝社)『僕たちはガンダムのジムである』(日本経済新聞出版社)『「就活」と日本社会』(NHK出版)『「意識高い系」という病』(ベストセラーズ)など。

【働き方ラボ】は働き方評論家の常見陽平さんが「仕事・キャリア」をテーマに、上昇志向のビジネスパーソンが今の時代を生き抜くために必要な知識やテクニックを紹介する連載コラムです。更新は原則隔週木曜日。