【中東見聞録】イランが仮想通貨に触手 米制裁の「抜け道」確保に躍起 (1/3ページ)

イラク・バスラの外貨両替店でリヤル紙幣を数える男性(ロイター)
イラク・バスラの外貨両替店でリヤル紙幣を数える男性(ロイター)【拡大】

 米国の経済制裁を受けるイランが、制裁を回避する決済手段として、「ビットコイン」などの仮想通貨に本格的に触手を伸ばしている。イランのサイバー能力は近年、急速に向上。専門家は、同国のハッカーが企業や公共機関のコンピューターに侵入して機能を停止させ、“身代金”として仮想通貨の支払いを求めるサイバー攻撃が増加する恐れもあると警告している。(前中東支局長 大内清)

産業として育成

 仮想通貨のマイニング(採掘)が、イランで「産業」として認められる-。

 今年9月、イラン中央銀行系の通信社IBENAが、サイバー空間の利用に関する同国規制当局高官の話として、こう伝えた。

 実体を持たない仮想通貨は、多数のパソコンなどの計算能力を利用する「ブロックチェーン」技術でその存在が担保されている。マイニングは、計算能力を提供する報酬として、新たに発生した仮想通貨を獲得することを指す。

 報道によると同高官は、イラン独自の仮想通貨創設の可能性にも言及した上で、中央銀行や情報通信技術省、鉱工業省、エネルギー省など、関連機関・省庁を挙げてマイニングの「産業化」に取り組む考えを強調。さらには、米国による制裁圧力が強まる中で仮想通貨は貿易相手との決済に有用だとの考えも示したという。

 また、中東のニュースサイト、アルモニターによると、11月にはイラン中央銀行と関係がある研究機関が、ロシア、アルメニア側との間で仮想通貨に関する技術協力などで合意したという。

米は制裁逃れ警戒

 イランでは、少なくとも表向きは仮想通貨の取り引きは禁じられてきた。仮想通貨を利用した国外への資本流出を防ぐためだとされる。

 だが、米国が11月に発動した制裁措置の第2弾でイラン産原油の取り引きやイランの銀行との決済が禁じられたことで外貨不足が深刻化し、通貨リアルは下落。日本など8カ国に認められた原油禁輸の180日間の適用除外措置も来年5月には期限が切れる。銀行間決済ができず外貨も入ってこないとなれば輸出入が滞ることは避けられないだけに、イランが制裁回避の「抜け道」として仮想通貨に期待していることは間違いない。

続きを読む