【中東見聞録】イランが仮想通貨に触手 米制裁の「抜け道」確保に躍起 (2/3ページ)

イラク・バスラの外貨両替店でリヤル紙幣を数える男性(ロイター)
イラク・バスラの外貨両替店でリヤル紙幣を数える男性(ロイター)【拡大】

 これに対し、米国もすでに、イランの仮想通貨利用に警戒感をあらわにしている。

 米財務省は第2弾制裁の発動に先立つ今年10月、米国内外に向け、「制裁の手引き」ともいえる文書を公表。その中でわざわざ仮想通貨に関する項目を立て、イランが実際には2013年ごろからビットコインなどを利用してきたことなどを指摘した上で、金融業者や仮想通貨の発行主体に対し、イランが関係する取り引きに目を光らすよう警告している。

 イランの仮想通貨利用への警戒は、単純なマイニングや交換業者を通じた取り引きにとどまらない。脅威となるのは、ハッカーによるサイバー攻撃だ。

高まるサイバー能力

 イランは10年、米国とイスラエルが仕掛けたサイバー攻撃でウラン濃縮施設のシステムが破壊された事件を契機として、急速にサイバー能力を高めてきた。「サイバー戦」の重要を認識したことで、ハッカーらの育成を進めたためだ。

 米情報セキュリティー会社「ファイア・アイ」によると、13年以降、米軍施設や米航空業界などへの攻撃も確認されているほか、最近ではSNSを通じた偽情報の拡散などのノウハウも蓄積しているとされる。

 そんな中で米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ、電子版)は8月、サイバーセキュリティー専門家の話として、イランで開発されたとみられる身代金要求型不正プログラム(ランサムウェア)=末尾に用語解説=が過去2年間で少なくとも新たに5種類、発見されていると指摘。その中には、イラン政府の支援を受けたハッカーによって作られたと疑われるものも含まれるという。

 米国では今年11月末、検察当局が、米国内の病院や公共機関など200カ所以上のコンピューターに侵入してランサムウェアを埋め込み、ビットコインでの支払いを要求したなどとして、イラン在住とみられるイラン人の男2人を起訴した。15年以降の被害額は計600万ドル(約6億7000万円)に上り、全体の経済損失は3000万ドルに達した。

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