【パパ編集部員の育休エブリデイ】(3)ベビーカー使用者には鬼門の交通機関 “エレベーター事件”にも遭遇 (4/4ページ)

 某有名百貨店の混雑する優先エレベーターの中ではちょっとした“事件”にも遭遇した。孫をおんぶした金髪の派手なおばちゃんと、このおばちゃんの息子と思われる“やんちゃな風貌”の男性が二人そろって、「ちょっと、孫がつぶれるでしょ! 関係ない人は降りなさいよ!」「もう乗れねーだろ、降りろよ!」と大きな声で文句を連発していたのだ。確かに“優先度の低い人たち”も乗ってはいたが、周りがドン引きするほど攻撃的な態度を取るのはいかがなものか-。

 それぞれ立場が異なる人たちが気持ちよく共存するためには、私も含め、子育て中の親もマナーについて高い意識を持つ必要があるだろう。インフラ整備はもちろんのこと、公共施設を利用する私たちも譲り合ったり、優しくしたり、配慮してもらったときに謝意を伝えるだけで、もっと育児がしやすい社会を作れるのではないだろうか。私も自転車に子供を乗せたママさんに道を譲ったときに、「ありがとうございます」の一言もなく、無表情で通り過ぎる人を見ると、とても残念な気持ちになった。ベビーカーを押しながらエスカレーターを使用する人もときどき見かけたが、周囲の冷たい視線が気になってしまった。

 もちろん、気づいた時に一緒にベビーカーを運んであげる人や、積極的に席を譲る優しい心を持った人もたくさん見かけた。我々も周囲の好意や優先エレベーターを利用することを「私たちの特権だ」と当たり前だと思わず、しっかりと感謝の気持ちを示すことが大切だと思う。社会環境の一部はインフラ施設に頼る前に、人間同士がしっかりと関係を作ることで改善を図れるはずだ。

ヨドバシカメラ吉祥寺店の優先エレベーターとおもいやりエレベーター

ヨドバシカメラ吉祥寺店の優先エレベーターとおもいやりエレベーター

 育休をめぐるそもそもの制度面についても少し触れておこう。育児休業は育児・介護休業法で「労働者が原則として1歳に満たない子を養育するためにする休業」と定義されており、「同一の事業主に1年以上継続して雇用されている」など一定の条件を満たした労働者が取得できる制度だ。性別や雇用形態に関係なく「誰でも育休を取得できる権利」を企業側に義務付けており、たとえ勤務先に規程がなくても、同法律に基づいて請求する権利があるのだ。

 男性が育休を取得しづらい理由

 とはいえ、男性の育休取得率は2017年時点で5.14%といまだに低い(女性は同83.2%、※1)。しかも、男性の育休取得期間は83%以上が「1カ月未満」だ。内閣府の調査によると、男性が育休を取りづらい理由に多く挙げるのが、「職場が育休制度を取得しづらい雰囲気だったから」(26.6%)、「会社で育休制度が整備されていなかったから」(26.0%)、「業務が繁忙であったため」(21.2%)、「育休取得による、所得減などの心配があったから」(18.5%)だそうだ(※2)。

 「おそらく、旧弊に縛られた企業が依然として多いのでは…」との予想ができるが、会社側の立場で考えると現場は貴重な戦力を失うことになり、ルーチンワークを抱えるほかの社員には“兼務”という形でしわ寄せがくる。私の場合は幸い、会社のサポートや理解があったが、社員が育休に入っても業務に支障をきたさない体制の構築は、人手不足に悩む多くの企業が抱えている喫緊の課題だろう。

 勤務先や同僚の理解が必要

 男性の育児参加を促すには、勤務先の協力や社員同士が「お互いの生活を尊重する」という理解に努めることが不可欠。私も育休取得者として、自分が経験したことをレポートにまとめて会社にフィードバックした。また、社員に育休への理解を深めてもらうために、いつでも自身の体験を社内でシェアする意思があることを会社に直接伝えた。もっと育休を取りやすい社会環境を作るために、私のような経験者ができることはたくさんあるはずだ。

 仮に育休を取得しても、「所得減の心配」はあるだろう。だが、育休中は会社から給料が支払われない代わりに、雇用保険からハローワークを通じて「育児休業給付金」が2カ月おきに支給される(最初の6カ月間は育休開始前賃金の67%、それ以降は50%)。しかも非課税対象であるため、普段の手取り額とそれほど大差はないとの印象を受けた。この制度があるおかげで懐事情だけでなく、気持ちの面でも非常に楽になったのは確かだ。

 次回は近所のコミュニティや職場など、私の周囲の話を記したいと思う。子供を通じてアメリカ人の友達を作ったり、公園で知らないママさんから突然、「〇〇ちゃんのお父さんですか?」と話しかけられるなど、育休を取ったからこそ経験できたことがたくさんあった。

 この連載は原則として、隔週の更新を予定しています。【パパ編集部員の育休エブリデイ】のアーカイブはこちらから。

※1(厚生労働省 平成29年度雇用均等基本調査 P6)

https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/71-29r/03.pdf

※2(内閣府「共同参画」2017年6月号より P3)

http://www.gender.go.jp/public/kyodosankaku/2017/201706/pdf/201706.pdf