東京商工リサーチ特別レポート

急成長の老人ホームが破綻 預り金流用か、前オーナーは徹底抗戦 (2/4ページ)

東京商工リサーチ

 ところが、これが単なるM&Aではすまなかった。創生事業団の傘下に入ると、未来設計は金融機関や施設オーナーなどへの一部支払いをストップし、トラブルに発展した。これが問い合わせ急増の本当の理由だった。

 未来設計は取引先に「買収後、粉飾決算など過去のデタラメ経営が発覚し、資金繰りが悪化した」と釈明、支払延期を要請していた。

粉飾決算と入居一時金の流用疑惑

 燻っていた同社の経営問題を昨年12月、内部告発でマスコミが一斉に報じた。

 その内容は、旧経営陣らが入居者からの預り金を売上に計上し、運転資金や創業者への高額な報酬に回していたという。

 入居預り金は想定する入居期間に応じ前払いする。入居者が想定よりも早く亡くなった場合、遺族側に返還する義務があり、独立して管理することが必要だ。預かり金は分割して売上に計上する必要があるが、これを一括計上するなどして売上を膨らませ、一方で創業者への高額報酬に充てていたと報じられた。

 民事再生申立書でも「創生事業団は未来設計の前実質的オーナーから、未来設計の持株会社の株式を49億円で買い取り経営権を取得したが、前実質的オーナー主導による大規模な粉飾決算が行われ、恒常的に赤字が発生し、運転資金もショートする恐れがあることが発覚した」(抜粋)としている。

前オーナーは年間2億円以上の役員報酬

 報道された未来設計の創業者で実質的なオーナー(以下、前オーナー)は、2016年に取締役を辞任している。2016年8月期の決算書では、同氏への役員報酬が2億1000万円と記載されていた。

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