役員退任後も前オーナーの支配下にあった未来設計の持株会社には業務委託料の名目で年間3000万円前後が支払われている。また、前オーナー所有の不動産が「保養所」、「農園」の名目で未来設計に貸し出され、年間2000万円前後の家賃が前オーナーに支払われていたことも記載されている。
新経営陣はこうした前オーナーへの巨額報酬や、本社の高額家賃などの放蕩経営が経営悪化の原因と断罪している。
未来設計はすでに前オーナーほか旧経営陣2名を相手取って損害賠償を求める裁判を提訴した。一方、前オーナーも未来設計に対して複数の訴訟を起こしている。前オーナーは一連の疑惑を否定し、自らの正当性を主張している。両者の争いは法廷に場を移し、司法の判断を仰ぐことになる。
今後の未来設計の経営は、あらためてスポンサーに就任した創生事業団があたる。民事再生法の申請当日、未来設計の担当者は「社員の雇用も昨年には創生事業団に移っており、現場に大きな混乱はない」とコメントした。
歪みが表面化している福祉・介護分野
すでに全従業員が創生事業団から出向という形態をとっている。経営悪化が露呈して以降、民事再生はある意味「規定路線」だったとも言える。運営する37カ所の施設は、すべて継続する。介護サービスは命に関わるだけに、事業がストップし、入居中の高齢者が路頭に迷う最悪の事態だけは避けられた。
だが、1500人に及ぶ入居者からの預り金は再生債権となり、カットの対象となる。