受験指導の現場から

「理科は後回し」で大丈夫? わが子の分岐点ズバリ教えます! (5/5ページ)

吉田克己
吉田克己

 中3になる直前の春期講習がデッドライン、その直後の4月からの受講では手遅れになる。実際、中2末の3月から新学年のカリキュラムとして中3の化学は始まってしまっている。その上、中3年次は、秋までに新出単元を終わらせるスケジュールで進んでいくため、それまでの間に中1・中2の特定の単元を集中的に復習するのは、他科目(とくに数学)に時間を取られることもあって難しい。

 新入社員の教養が落ちている理由も…?

 高校受験からは少し離れるが、中・高受験のために理科・社会をきちんと勉強した生徒と、中学受験を経験せず公立中学から3教科受験で私立高校に進んだ生徒では、高校での理科の成績に大きな差が出る。後者の生徒が大学進学時に理科系の学部・学科に進むのは、おそらく相当にハードルが高いだろう。

 昨今、「10年以上前と比べると、新入社員の教養が落ちている」「偏差値が同じくらいの大学であれば、首都圏よりも西日本の大学を出ているほうが、実力があるように思える」といった人事・採用担当者の声も漏れ聞こえてくる。

 公立中学から3教科受験で大学付属の私立高校を経て文系の学部に進んだというような、中学受験期から大学を卒業するまでに一度も理科・地理・歴史に真剣に取り組んだことがない学生が首都圏中心に増えているからではないか? というのが、筆者の見立てである。

吉田克己(よしだ・かつみ)
吉田克己(よしだ・かつみ)
京都大学工学部卒。株式会社リクルートを経て2002年3月に独立。産業能率大学通信講座「『週刊ダイヤモンド』でビジネストレンドを読む」(小論文)講師、近畿大学工学部非常勤講師。日頃は小~高校生の受験指導(理数系科目)に携わっている。「SankeiBiz」「ダイヤモンド・オンライン」で記事の企画編集・執筆に携わるほか、各種活字メディアの編集・制作ディレクターを務める。編・著書に『三国志で学ぶランチェスターの法則』『シェールガス革命とは何か』『元素変換現代版<錬金術>のフロンティア』ほか。

【受験指導の現場から】は、吉田克己さんが教育に関する様々な情報を、日々受験を志す生徒に接している現場実感に照らし、受験生予備軍をもつ家庭を応援する連載コラムです。更新は原則第1水曜日。アーカイブはこちら

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus