【ミラノの創作系男子たち】建物の歴史と文化土壌を知る…建築家に多い「レスタウロ」の仕事とは (1/3ページ)

 イタリアの建築家は「レスタウロ」の仕事が圧倒的に多い。レスタウロとは修復のことである。(安西洋之)

 例えば、中世からある建物の歴史を調べ、その周囲の文化土壌を知り、21世紀の現在、何をこの歴史の1ページに加えるのが良いかを考える。最初にあったオリジナルを復元する、ということではない。新しいコンテクストをつくるのだ。

 建築家の仕事といえども、探偵と裁判官のような仕事だ。ディテールを丁寧に追って全体像を把握しないといけない。

 建築家のパオロ・ゴリネッリは「ぼくは大学ではアルビーニの共同経営者に師事し、卒業後はアルビーニの事務所で働いてから独立したので、いわば近代合理主義のど真ん中を歩いてきた。だから空からアイデアが降りてきた!みたいなことを話すタイプではない」と笑う。

 アルビーニ事務所は、20世紀のイタリアの建築・デザイン界の主人公の1人であったフランコ・アルビーニが創立した事務所である。パオロが大学を出た時、既にフランコ・アルビーニ自身はとっくに亡くなっていたが、その伝統を踏まえたスタジオで職業体験を積んだ。「常軌を逸する」ことが尊重される世界ではないのだ。

 最近の彼の仕事をみせてもらった。ミラノ市内にある建物のレスタウロだ。

レスタウロした建物の外観

レスタウロした建物の外観

 「この壁の色はね、ミラノの王宮の壁の色に準じた」と、プレゼン資料を見せながら説明する。そして「この長い廊下の壁はカラフルになっているが、それは建物の中庭にある冬の色とりどりの落ち葉をモチーフにとった」と言葉を加える。

 いかに自分の仕事が合理性の追求に基づいているかを説明する。

庭の落ち葉のイメージを使ったカラフルな廊下

庭の落ち葉のイメージを使ったカラフルな廊下

 そこで「分析のプロセスで点と点を結んでいくに際しての発想がクリエイティブなエリアですね」とぼくが指摘すると、「それはそうなんだけど…」と呟く。

「私生活と仕事は一続きに繋がっている」