ぼくが、エネルギッシュなタイプをインタビューの相手として求めてきた、と彼は構えているのかもしれない。それを窺わせる言葉が他にもある。
「スポーツは特にしない。市内を移動するのに、自転車で移動するくらいか。タイプ? ふつうの自転車だよ」
「夜中、ベッドの中で置きだしてアイデアをメモするとか、そんなことやらない。寝る時は寝る!」
「集中するための音楽を聞くとか、そういうのにはまったく関心がない。だいたい、音楽がなくても集中できる」
クリエイターであることに控えめであり、それらしき振る舞いをするのも好きじゃない。大げさな表現を好まないのか、それとも合理性を重んじるデザイナーらしい姿勢を強調しているとみるのが良いのか。
いずれにせよ、極めて標準的な生活を送っていることに意味があるのだろうと思い直す。更に質問を重ねていくと「そうだ!ヨガは10年以上続いている。まったく力まない別の世界を知ることができた」と急に思い出したように語る。
少しはぼくの期待に応える話題を見つけたかな、との表情になる。
それでは自宅でもヨガを毎日やるのかと聞くと、「いや、ヨガのジムに行かないとやらない。自宅ではその気になれない」と、ここでも過剰を避ける生活ぶりに力点をおく。
かといって、勤め人のように私生活と仕事が分化しているのかと問えば、「この仕事をやっていて、私生活と仕事は一続きに繋がっている」と断言する。