フィンテック群雄割拠~潮流を読む

既存の世界を一変させた米中のフィンテック サービスの鍵は“PMF” (2/5ページ)

甲斐真一郎
甲斐真一郎

 このアプリの一番の特徴は、手数料無料で米国株やETF(上場投資信託)のトレーディングができてしまう点にあります。スタンフォード大学でルームメイトだった2人の若者が作ったこのサービスが、ミレニアル世代の心をガッチリ掴み、あっという間に大人気アプリとなってしまったのです。ロビンフッドの創業は2013年。一部報道によると、2018年10月時点で600万口座の利用者を獲得しており、「近いうちに800万口座をも突破するのでは?」と噂されるほど勢いがあります。米国で今最もホットなフィンテックサービスと言えるのではないでしょうか。ちなみに資金調達額も巨額で、2018年5月には約397億円の調達を実現しています。

 この2つの事例が示すように、今の時代、うまくハマると世界を一変させてしまう破壊力があるサービスが生まれ得るわけです。

 常識を覆すサービスを生み出す秘密とは?

 言うまでもないことですが、フィンテックサービスであるというだけでこんなことが起こせるというわけではありません。もちろん、日本でアリペイやユエバオ、そしてロビンフッドがリリースしたプロダクトをそのまま展開したとしてもうまくいくわけでもないでしょう。

 では、一体何が、これらの革新を起こさせたのでしょうか?

 私はその秘密は、「プロダクト・マーケット・フィット(=PMF)」という言葉に隠されているのではないかと思っています。

 「PMF」とは、顧客のニーズを満たすプロダクト(サービス)をリリースし、それが適切な形で人々(マーケット)に受け入れられている状態を指す言葉です。この言葉は、当時、画期的なシステム(UCSA Mosaic等のウェブブラウザ-)を開発した、著名なアメリカのソフトウェア開発者のマーク・アンドリーセンが提唱しているものです。

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