フィンテック群雄割拠~潮流を読む

個人資産1000兆円を動かすために FOLIOのプロダクト磨きの秘密 (2/4ページ)

甲斐真一郎
甲斐真一郎

 「0から1をつくる」ことと「1を10にする」こと

 スタートアップにとって、生き残るために重要なものが、この「プロダクトマーケットフィット」になります。前述のマーク・アンドリーセンは、スタートアップが失敗してしまう最も大きな理由として「PMFを達成できないこと」をあげています。それほど大切なPMFなのですが、僕は、このPMF状態を作ることは「1を10にすること」だと考えています。しかし、スタートアップには、それ以前のフェーズがあります。それが「0から1」をつくるというフェーズです。

 そもそもですが、スタートアップには「0から1」を作るフェーズが必要です。「自分たちの想い」を軸にプロダクトやサービスを具現化していくフェーズです。ある意味、このフェーズでのユーザーヒアリングはあまり意味がないと思います。自らの想いが主なガソリンになっている分、モチベーションも極めて高いですし、クリエイティビティーが最大限に発揮されます。デザイナーやエンジニアというクリエイターたちは、ちょっと傲慢なくらいに「こんな革新的なサービスなら、誰だって使ってくれる!」ということを胸に抱きながら、開発に日夜勤しみます。この初期段階のプロダクトは、熱量の高い、尖った、ユニークなものとなるので、世間から大きな注目も集めます。スタートアップの土台を固めるためには、必要不可欠な期間なのです。

 しかしながら、世の中にサービスが根付いていくフェーズで非常に大切なのは「1を10にする」力です。世の中に受け入れられ、PMF状態を作り、そこからマーケティングの力で広げていく。プロダクトを常に顧客目線でブラッシュアップし続ける。お客さまの声に耳を傾け、お客さまに教えていただきながら、お客さまの想像を超えていく。

 実は「1を10にする」フェーズと、「0から1をつくる」フェーズでは、組織設計や必要な人材も大きく異なってくると思います。この断絶こそが、スタートアップのスケールを難しくしている要因でもあります。この話は、フィンテックから少し離れた「起業論」の話ですので、また別の機会にお話しできればと思います。

 ユーザーにアジャストしていく「テーマ投資」の開発現場

 では、いよいよ僕が率いるFOLIOのプロダクトについて考えていくことにしましょう。

 FOLIOはまずはじめに「テーマ投資」サービスを世に出しましたが、尖った開発をする初期(ゼロイチ)フェーズだったがゆえに、鮮明にはメインターゲットユーザーを定めていなかったところがありました。上述の通り、自分たちの「想い」を重視して爆速で開発したからです。

 しかし、昨今何十回と実施しているユーザーヒアリングが功を奏して、「WHO」のピントが明確に定まってきました。これが決まると必然的に「WHAT」も絞り込まれてきます。まだ、ここは侃侃諤諤のディスカッションで磨き挙げているところではありますが、今までは私たちの想いというか、「(こうある)べき論」でつくってきたテーマ投資というプロダクトが、「1→10」のフェーズに入ってきて、「ユーザーの声に耳を傾けてアジャストしていく」という開発の仕方に大きくシフトチェンジしています。これはPMFというコンセプトを重視しているFOLIOの大きな変化と言っていいでしょう。フェーズによって、いかに柔軟に変化できるかが重要だと思います。

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