高論卓説

教育の差が世界での地位決める 「小・中・高・大」全て9月入学に (1/3ページ)

 子供がいる家庭にとって9月は、長い夏休みが“ようやく”終わってホッとする時期だ。家族で過ごす夏のイベントの楽しみはあっても、暑さや自宅での3食の支度、どこへ行っても巻き込まれる混雑などは正直、苦しみ以外の何物でもないと思うときもある。加えて、日本の夏休みは年度の途中でもあることから、大量の宿題が出される。これはいまだ桜の咲く季節に入学式を設定している日本特有の事情である。(ジャーナリスト・細川珠生)

 世界のほとんどの国は、夏休み後に新年度が始まるため(南半球では2月など)、せっかくの長期休暇に宿題が気がかりで思う存分楽しめないなどというのは、ありえない。ましてや、「休み明けにテスト」などという無謀なこともない。長い夏休みも子供たちに、何を学ばせるか、どんなことを身につけさせたいか、そのために大人がやるべきことは何かが明確に、人々に認知された社会があるのだ。

 夏休みに大量に出される宿題の問題だけではないが、世界との年度のずれは、日本にとって不利益が大きすぎるという理由で、私は以前から日本も高等教育だけでなく、全ての教育段階で“世界標準”の「9月入学」にすべきであると、さまざまな政治家に訴えてきた。しかし、いまだに誰一人、それを検討しようとさえしない。もっと世界の実情を、特に子供たちが学んでいる現場と、そこで何を身につけているかを知るべきである。日本の子供たちが受けている教育や体験することとの違いが、将来、国力の違いや国際社会におけるプレゼンスの違いに直結するのである。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus